イスカリオテ・ユダの裏切り|マタイの福音書26章14-16節

銀貨三十枚を差し出す祭司長と、それを受け取るイスカリオテのユダ。画面右に「イスカリオテ・ユダの裏切り」「マタイ26:14–16」と白文字で描かれた横長イラスト。 イエス様の足跡を巡る旅

🌱はじめに

静かに進められた裏切り――その裏には、人の心の中でうごめく思いと、主の御計画が交差していました。イエスさまの十字架の道は、外から見れば人の策略と裏切りのように見えます。しかしそのすべての中に、神の救いのご計画が着実に進んでいたのです。



📝この記事を読むとわかること

  • イスカリオテ・ユダが裏切りに至った背景
  • 銀貨三十枚の意味
  • ベタニヤでの出来事とのつながり
  • 弟子としての信仰の姿勢を見つめ直すヒント

📖 この箇所の文脈|裏切りの始まりと神の計画

前回、ベタニヤでマリヤがイエス様に埋葬の準備のための高価な香油を注がれました。その時ユダがイエス様から叱責されたことに腹を立て、祭司長のもとに行って、イエスを売り渡しその報酬として30枚の銀貨を受け取ります。

ユダの心の動きと、主の御心は別のものでしたが、その出来事はやがて全人類の救いとなる十字架の道へとつながっていきます。


🖼️ 原画:『イスカリオテ・ユダの裏切り』(らけるま作)


🪷やさしい解説:受難週の火曜日

この短い3節には、大きな心の闇と主のご計画が凝縮されています。表面的には、ユダが銀貨三十枚でイエスさまを売るという悲しい裏切りの取引が描かれています。

けれども、この裏には、イエスさまがすでに「ご自分の時」が来たことをご存じであったことがわかります。

ベタニヤでの出来事――死人からよみがえったラザロとともにいたマリヤが香油を注ぎ、それに反対したユダ。ヨハネ12章では、ユダは会計係でありながらお金をくすねていた「盗人」であることが記されています。表では「貧しい人々に施せたのに」と言いながら、心の中には私利私欲があったのです。

その不満が、イエスさまからの叱責によってあらわにされ、ユダの心は決裂します。そして彼は祭司長たちのもとへ行き、「彼を引き渡すなら、いくらくださいますか」と、まるで物のように主を差し出したのです。

銀貨三十枚――それは当時、奴隷一人の代価とされていた額です。人としての尊厳を持って生きられるはずの主が、最も低く見積もられた値で売られたのです。


🕯️ ユダの末路

イエスさまが捕らえられた後、ユダは自分の過ちに気づき、深く後悔しました。マタイ27章3〜5節によれば、彼は銀貨三十枚を神殿に投げ返しましたが、受け取ってもらえず、絶望の中で自ら命を絶ちました。

彼の姿は、罪の重みと向き合ったときの人間の弱さ、そして赦しを受け取ることの大切さを私たちに問いかけています。主は、裏切りをも知りつつ、なお赦しの道を開いておられるのです。


💰 銀貨三十枚の旧約聖書的な意味

この金額は、新約聖書の読者(特にユダヤ人)に対して、イエスの運命が預言通りであることを強く示唆しています。

  • 奴隷の代償(出エジプト記 21:32):牛が奴隷を突いて死なせたときの賠償金として、「銀三十シェケル」が定められていました。これは、神の子であるイエスが奴隷と同じ、あるいはそれ以下の価値で祭司長たちに「買い取られた」ことを示しています。
  • 預言者の報酬(ゼカリヤ書 11:12-13):預言者ゼカリヤが報酬を求めたとき、人々は「銀三十枚」を量って支払いました。主はそれを「鋳物師に投げ与えよ」と命じます。これは、神の選んだ者が軽んじられ、嘲笑されることの象徴です。

マタイはこの預言が、ユダが銀貨を神殿に投げ返したのち、祭司長たちがその金で陶器師の畑を買った(マタイ27:3–10)という出来事によって成就したと理解していました。


💡 象徴的な結論

ユダが受け取った「銀貨三十枚」は、イエスがあらかじめ定められた神の計画に従って、極めて卑しい者(奴隷)の対価として裏切られたことを示す、二重の意味を持つ預言的な価格だったのです。

しかしこの裏切りさえも、イエスさまはご存じであり、すべてを受け入れ、十字架の道を進まれました。それは、私たちすべての罪を贖うためでした。


🌼こどもたちへのメッセージ

イエスさまは、とても悲しいことも知っておられました。仲間だったユダが、自分のためにお金でイエスさまを売ろうとしていることも知っていました。

でも、イエスさまは、わたしたちみんなのために、じっとこらえて、十字架の道を歩いていかれました。

どんなときでも、イエスさまの愛はかわりません。わたしたちも、イエスさまを信じてついていきましょうね。


🎚️ 弟子の告白

主よ、私はあなたの弟子として歩みたいと願いながら、ユダのように、目先の利益や人の目を気にして、あなたを遠ざけてしまうことがあります。

けれど、あなたはすべてをご存じのうえで、私を見捨てず、なおも招いてくださいます。

どうか、弱さの中にも従順な心を与え、御国の希望に生きる弟子として、日々あなたとともに歩ませてください。


🖼 原画アイキャッチ情報

【代替テキスト】
銀貨三十枚を受け取るイスカリオテのユダと、黒衣の祭司長たち。イエスを裏切る取引が行われている場面を描いたイラスト(マタイ26章14–16節)。

【キャプション】
銀貨三十枚――それは、イスカリオテのユダがイエスを売るために受け取った代価でした。静かに進められた裏切りの取引。その中でも主は、十字架の道を選ばれました。

📌原画には、パブリックドメイン口語訳が含まれています。
https://j-bible.jimdofree.com/


🎨 らけるまの創作メモ|裏切りの影を描こうとした日

この絵を描いた日は、心の中にある光と影を見つめるような時間でした。
ユダの表情、祭司長たちの無表情、そしてイエスさまの見えないけれども確かに存在するご計画――
そのすべてが画面の中に流れていくようにと願って描きました。

読者の方が、表面的な出来事の奥にある「救いの計画」を感じてくだされば幸いです。


📝この記事のまとめ

  • ユダは、香油事件をきっかけに裏切りを決意した
  • ヨハネ12章ではユダが盗人であることが記されている
  • 銀貨三十枚は奴隷の値段とされていた
  • 主はその裏切りさえもご存じで、十字架の道を歩まれた
  • わたしたちも弱さの中に従順を求められている

🕊️ 結びの祈り

主イエスさま、
あなたは裏切りを知りながら、十字架への道をとどまることなく歩まれました。

私たちの心にも、ユダのような弱さや自己中心があります。それでもなお、あなたは見捨てず、赦しと愛をもって招いてくださいます。

どうか、読んでくださった方の心にも、あなたの静かな愛が届きますように。
裏切りの夜にも差し込んだ、希望の光を見つけることができますように。

アーメン。


🔔 次回の予告

次回は、「過越の食事」ルカの福音書22章――主が弟子たちとともに最後の晩餐を囲み、愛と約束を残された夜をたどります。


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