ヘロデによる裁判|ルカの福音書23章6-12節

紫の衣を着せられ、うつむくイエスを中心に、ヘロデが嘲るように身ぶりを交え、後ろには笑顔の兵士たちが並ぶ。右端にはユダヤ人の宗教指導者たちが静かに佇んでいる。 イエス様の足跡を巡る旅

🌱はじめに

人々に訴えられ、沈黙のうちに連れまわされる主イエス。その歩みは屈辱に満ちていますが、そこには神の御子としての威厳と、十字架への従順が静かに輝いています。今回は、ピラトからヘロデへと送られたイエスの姿に、御国の王の深いご計画を見つめます。



📝この記事を読むとわかること

  • イエスがヘロデのもとに送られた理由
  • ヘロデがイエスに抱いた期待と失望
  • イエスの沈黙の意味
  • 嘲られたイエスの姿に表れる従順と平和

📖 この箇所の文脈|ヘロデの前に立たれたイエス

前回は、ユダヤ人がイエスをピラトのもとに連行し、ローマによる裁判が行われました。けれども、イエスがガリラヤ出身であると知ったピラトは、その地域の支配者であるヘロデ・アンティパスのもとへイエスを送ります。ちょうどヘロデも過越の祭りのためにエルサレムに来ていたのです。これは、ローマ法のもとで責任を転嫁しようとする政治的判断でもありました。


🖼️ 原画:『ヘロデによる裁判』(らけるま作)

紫の豪華な衣を着せられ、うつむくイエス。ヘロデが身を乗り出して嘲笑し、後ろに兵士たちが笑顔で並ぶ。右にはユダヤ人の祭司たちが控えている。
ピラトから送られたイエスを、ヘロデは興味本位で迎えました。奇跡を期待していたヘロデは、沈黙を守るイエスに失望し、兵士たちとともに嘲りの衣を着せます。 イエスは口を開かず、その辱めを黙って受けられました。沈黙の中に、御国の王の気高さが映し出されています。

🪷やさしい解説

ルカによる福音書第23章6節から12節は、イエス様がローマ総督ポンティオ・ピラトからヘロデ・アンティパスのもとへ送られ、再びピラトのもとへ戻されるという、受難物語の中のユニークな挿入部分です。

この出来事は、ルカの福音書にのみ詳細に記録されており、イエス様の無実をさらに強調し、当時の権力者間の関係性も明らかにしています。


📖 ルカの福音書 (23:6–12) の解説

1. イエス様のガリラヤ出身とヘロデへの移送 (6–7節)

  • 情報源: ピラトは、ユダヤ人たちがイエス様を訴える際に、イエス様がガリラヤ出身であると聞いたとき、驚くべき抜け道を見つけます。
  • 管轄権: ガリラヤは、ユダヤ(ピラトの直接の管轄地)とは異なり、ヘロデ・アンティパスが分封領主として治めていました。この時ヘロデはたまたま過越祭のためにエルサレムに滞在していました。
  • 責任の回避: ピラトは、イエス様をヘロデのもとに送ることで、厄介な政治的・法的責任を回避しようとしました。同時に、これはヘロデへの敬意の表明となり、後の両者の関係修復につながります。

2. ヘロデの期待と失望 (8–10節)

  • ヘロデの関心: ヘロデはイエス様のうわさをかねてから聞いており、イエス様に会えることを大いに喜びました。彼は奇跡を目撃できることを期待していました(8節)。
  • イエス様の沈黙: ヘロデが多くの質問をしても、イエス様は何も答えられませんでした(9節)。イエス様は、真剣に真理を求めているわけではない、ただの好奇心娯楽のために近づいてきたヘロデに対して、ご自身の言葉を費やすことを拒否されました。
  • 祭司長たちと律法学者たちの告発: その間、祭司長たちと律法学者たちは激しくイエス様を訴え続けます(10節)。

3. ヘロデの侮辱とピラトへの送還 (11–12節)

  • 侮辱と嘲り: ヘロデはイエス様から何も得られないとわかると、彼を軽んじ、兵士たちと共に侮辱しました。彼らはイエス様に華やかな服(おそらく王をからかうためのきらびやかな服)を着せて嘲弄しました(11節)。これはイエス様が王であるという主張を嘲笑する行為です。
  • 無罪の判断: ヘロデはイエス様を処罰する理由を見つけられず、ピラトのもとへ送り返しました。ヘロデもまた、イエス様に罪がないと暗黙のうちに認めたことになります。
  • 友情の回復: この出来事によって、以前は敵対していたピラトとヘロデは、その日から友人になったと記録されています(12節)。両者が共にイエス様を裁き、その責任を分かち合ったこと、あるいはピラトがヘロデの管轄権を尊重したことが、和解につながりました。

✨ この箇所の意義

このヘロデ法廷の挿入は、受難物語において以下の点で重要です。

  • イエス様の無実の強調: ピラト(ローマの代表)に続き、ヘロデ(ユダヤ人分封領主の代表)もイエス様に有罪の理由を見いだせなかったことが二重に示されます。これにより、イエス様が十字架につけられたのは、ローマ法やユダヤの法的な理由からではなく、権力者たちの思惑群衆の圧力によるものであったことが強調されます。
  • 権力者たちの連帯: ピラトとヘロデが、無実のイエス様を前にして和解したという事実は、真の神の子に対する世の権力者たちの連帯を象徴的に示しています。

この後、イエス様は再びピラトのもとに戻され、最終的な判決が下されることになります。


🌼こどもたちへのメッセージ

イエスさまは、わるいことをしていないのに、つかまって、ヘロデのまえにたたされました。
ヘロデはイエスさまをためして、たのしもうとしましたが、イエスさまはなにもこたえませんでした。
それは、かみさまのごけいかくをしずかにうけとめていたからです。
イエスさまのように、しんじて、まって、しずかにあるくことも、だいじなしんこうですね。


🎚️ 弟子の告白

主よ、私も時に、人の言葉に動揺し、自分を守ろうとしてしまいます。
けれども、あなたは沈黙を選ばれました。何も弁明されなかったその姿に、深い信頼と従順の光を感じます。
私は弱く、完全ではありませんが、あなたの御国を見上げて歩む弟子として、
どんな時にもあなたに従いたいと願います。


🖼 原画アイキャッチ情報

【代替テキスト】
ヘロデがイエスを嘲りながら見下ろし、兵士たちが笑顔で立つ中、イエスは紫の衣を着せられ、うつむいて沈黙している。右にはユダヤ人の指導者たちの姿。

【キャプション】
ヘロデは、奇跡を見たがっていた。しかしイエスは、何も語らず、何も行わなかった。兵士たちは嘲り、侮辱の衣を着せる中、イエスは静かに御心に従われました。

📌原画には、パブリックドメイン口語訳が含まれています。
https://j-bible.jimdofree.com/


🎨 らけるまの創作メモ|沈黙の尊さを描こうとした日

この場面を描いた日、私は「沈黙は無力ではなく、信仰のかたちである」と感じていました。
イエスさまはご自身を守ることなく、ただ神さまにすべてをゆだねて沈黙されました。
その姿に、ことばよりも深く心を打つものがあるように思います。
紫の衣には、人々の嘲りと同時に、王の気高さが重なっています。
誰よりも傷つき、誰よりも尊くあられるイエスさまを、この絵を通して見上げてもらえたらうれしいです。


📝この記事のまとめ

  • ピラトはイエスをヘロデに送った
  • ヘロデは奇跡を期待していたが、イエスは沈黙を守られた
  • イエスは侮辱され、紫の衣を着せられた
  • 沈黙はイエスの従順と信頼のあらわれだった
  • この日、ピラトとヘロデは親しくなった

🕊️ 結びの祈り

主イエスさま、あなたが沈黙をもって神のみこころに従われたことを、心から感謝します。
人々の嘲りや軽んじる態度の中でも、あなたの御国は揺らぎませんでした。
わたしたちも、騒がしい日々の中で、あなたのように静まって御声を聞く者でいられますように。
読んでくださった方々が、あなたの平安に包まれますように。


🔔 次回の予告

次回は、「ピラトによる二回目の裁判、死刑判決」――ヨハネの福音書18章39節から19章16節へと進みます。
人々の声と神の御心の間で揺れるピラトの姿と、イエスが歩まれる十字架への道を見つめていきましょう。


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