🌱 はじめに(導入文)
「わたしにはあなたを許す権威がある」という ピラト の言葉が、やがて十字架への道へとつながっていきます。無罪を宣言しながらも、群衆の叫びによって罪なき イエス・キリスト が死刑に定められるこの場面は、私たちの信仰と罪、救いの深い交差点を見せてくれます。今回の記事では、ヨハネの福音書18章39節から19章16節にかけて描かれる「イエスの二回目の裁判」の流れを、やさしく丁寧にたどってみましょう。
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前回の記事「ヘロデによる裁判」はこちらからご覧いただけます
📝 この記事を読むとわかること
- イエスがなぜ再び ピラト の前に立たされたのか
- その過程で示された人々の選択と心の動き
- 裁判を通じて私たちに語られる福音の意味
- 今日を生きる私たちへのメッセージ
📖 この箇所の文脈|ピラトによる第二の審判
前回、イエスはガリラヤから連行され、ピラトのもとからさらにヘロデのもとへ送られました。これはガリラヤ地方がヘロデの支配下にあったためです。そして今回、再びピラトの前に立たされたイエス。ピラトは「この人には罪がない」と宣言し、イエスを釈放しようと試みました。
しかし、群衆や宗教指導者たちの圧力、そして「あなたの王を十字架につけよ!」という叫びが、ピラトを死刑宣告へと促しました。この流れの中には、イエスの王なる使命、ピラトの葛藤、そして人々の選択という深いテーマが重なっています。
🖼️ 原画:『ピラトによる二回目の裁判』(らけるま作)



🪷 やさしい解説
ヨハネの福音書18章39節から19章16節は、イエス・キリストがローマ総督のピラトの前で裁判を受け、最終的に十字架につけられる判決が下される、福音書の中でも特に重要な出来事が描かれている箇所です。
🏛️ ピラトによる裁判の継続と人々の選択(18:39 – 19:7)
釈放の慣習とバラバの選択(18:39-40)
- ピラトの提案: ピラトは、過越祭に際して、囚人を一人釈放する慣習があることを持ち出し、イエスを釈放しようとします。これは、イエスに罪がないと確信していたからです。
- 人々の拒否: しかし、群衆は「この人ではなく、バラバを!」と叫びます。
- バラバとは: バラバは強盗(あるいは暴徒)でした。群衆は、無実のイエスではなく、罪人であるバラバの釈放を選びました。これは、人間の思惑が神の計画とは異なるところにあることを示唆しています。
むち打ちと兵士の嘲弄(19:1-3)
- ピラトの譲歩: ピラトは群衆をなだめ、イエスを解放するための妥協策として、イエスをむち打ちにかけさせます。
- 兵士の嘲弄: ローマ兵たちはイエスを嘲弄し、いばらの冠をかぶせ、紫の衣を着せて、ユダヤ人の王だとからかいます。これは、イエスが王であることを皮肉り、その権威を冒涜する行為でした。
「見よ、この人だ(エッケ・ホモ)」(19:4-7)
- ピラトの再提案: むち打ちにかけた後、ピラトはイエスを再び群衆の前に引き出し、「見よ、この人だ(エッケ・ホモ)」と言います。これは、これ以上の罰は必要ない、イエスには死に値する罪はない、と群衆に訴えかけ、同情を引こうとする試みでした。
- 群衆の叫び: しかし、祭司長たちと役人たちは、ますます「十字架につけろ!」と叫びます。
- ユダヤ人の主張: ユダヤ人たちは、イエスが自分を神の子とした(律法によれば神を冒涜した)ため、死刑にすべきだと主張し、ローマの法ではなく自分たちの律法を持ち出してピラトを追い詰めます。
⚖️ ピラトの苦悩と判決(19:8 – 19:16)
ピラトの恐れと尋問(19:8-11)
- ピラトの恐れ: イエスが「神の子」であると聞いたピラトは、さらに恐れを感じます。これは、異教徒であるピラトも、何らかの超越的な存在の可能性を感じたためかもしれません。
- イエスとの対話: ピラトはイエスを総督府の中に連れ戻し、「お前はどこから来たのか」と尋ねますが、イエスは答えません。
- 権威の確認: ピラトが「あなたを許す権威があり、また十字架につける権威があることを、知らないのか」と言うと、イエスは「あなたは、上(神)から賜わるのでなければ、わたしに対してなんの権威もない」と答えます。これは、ピラトの権威が神の主権の下にあることを示し、イエスが自らの受難を神の計画として受け入れていることを示しています。
政治的圧力と最終決定(19:12-16)
- ピラトの試み: ピラトはなおもイエスを釈放しようと試みます。
- ユダヤ人の脅し: ユダヤ人たちは、「もしこの人を許したなら、あなたはカイザルの味方ではありません」と叫び、政治的な圧力をかけます。これは、イエスを「王」と認めることはローマ皇帝カエサルへの反逆であるとほのめかし、ピラトの立場を脅かすものでした。
- ピラトの屈服: ピラトはユダヤ人の圧力に屈し、イエスを彼らに引き渡すことを決意します。ピラトは裁きの座(ガバタ、ヘブライ語で「敷石」の場所)に着き、最終的な判決を下しました。
- 時刻: この出来事は過越の準備の日、昼の十二時ごろに起こりました。
🔍 ヨハネの記述の役割
ご指摘の通り、マルコの午前9時を処刑開始の時刻とすることで、その後に起こる正午からの暗黒や午後3時の死が、時間的な矛盾なく配置されます。
ヨハネが記した**「昼の十二時ごろ」の出来事(19:14)は、この時系列を否定するものではなく、むしろ裁判の過程**を補足するものと理解できます。
- ヨハネの12時: ピラトが最終的な判決を下し、イエスをユダヤ人に引き渡した時刻。
- マルコの9時: 刑が執行され、イエスが実際に十字架にかけられた時刻。
イエスは判決が下されるまでに、すでにローマ兵によってむち打たれ、嘲弄されるなどの苦痛を受けています。判決が下った後、すぐに十字架を背負ってゴルゴタへ向かったとしても、**午前9時(第三時)**には既に十字架につけられているという流れは十分に可能です。
したがって、マルコの午前9時を処刑開始時刻として採用することが、十字架上のすべての出来事を矛盾なく理解するための、最も適切な解釈と言えます。
💡 この箇所の主要なテーマ
この箇所は、権威、真実、そして人間の弱さというテーマが交錯しています。
- 神の主権: ピラトは地上の最高の権威者ですが、イエスは彼の権威でさえ「上から与えられたもの」であると語り、すべての出来事が神の計画と主権の下で進行していることを明らかにします。
- 真実と選択: ピラトはイエスに罪がないことを知っていましたが、政治的な保身と群衆の圧力を恐れ、真実よりも自分の立場を選びました。
- 代理の受難: 群衆は、罪を犯したバラバの釈放を選び、無罪のイエスの死を求めました。これは、罪ある人間の代わりに、無罪の神の子が刑罰を受けるという、キリスト教の贖罪(しょくざい)の核心を予期させる出来事です。
この後、イエスは十字架を負わされてゴルゴタへ向かうことになります。
🌼 こどもたちへのメッセージ
イエスは、自分のためではなく、みんなのために黙って受けられたの。
私たちが間違ったことをしても、イエスはその先まで愛をもって歩んでくださる。
だから、どうか安心してね。イエスは君を見捨てないよ。
そして、君も誰かのために優しくなってみよう。ちいさな「ありがとう」でも、イエスの愛を広げることができるんだよ。
🎚️ 弟子の告白
主よ、私は完璧ではありません。疑いも迷いもあります。
それでも、あなたの御顔を見たいと願い、あなたの声に従いたいと願います。
この裁判の場で示された黙って耐えられたあなたの姿、その尊さを思います。
どうか、私の弱さに光を当て、あなたの愛で包んでください。
御国の希望を抱き、日々にあなたをあがめて歩みます。
🖼 原画アイキャッチ情報
【代替テキスト】
「ピラトの前に立つイエス。いばらの冠をかぶせられ、紫の衣をまとい、群衆に『十字架につけよ』と叫ばれている場面。」
【キャプション】
「ピラトによる二回目の裁判 〜ヨハネ18:39‑19:16より(らけるま作)」
📌原画には、パブリックドメイン口語訳が含まれています。
https://j-bible.jimdofree.com/
🎨 らけるまの創作メモ|光と影の中に愛を描こうとした日
この絵を描いた日は、静かな冬の午後でした。
陽が低くなり、部屋の片隅に影が伸びていて、その中で「耐える者」の強さと「沈黙の中にある愛」を表現したくなりました。
いばらの冠と紫の衣という、嘲りの象徴と王の象徴が交わるその瞬間に、光が差し込むような感覚が湧きました。
この場面を通して、「見捨てられない愛」がどこにあるかを、描きたかったのです。
📝 この記事のまとめ
- イエスは無罪を宣言されながら、群衆の声によって裁かれた。
- ピラトは自らの判断を下せず、群衆の圧力に屈してしまった。
- この場面には、私たちの「誰に従うか」という選択が映し出されている。
- イエスの受難は、ただの苦しみではなく、愛と救いの道である。
🕊️ 結びの祈り
愛する主イエス・キリストよ、
あなたは私たちのために静かに裁かれ、沈黙の中で真実を貫かれました。
私の弱さ、迷い、恐れをあなたの御手にゆだねます。
どうかその十字架の愛で私を包み、私の心に光をともしてください。
今日という日も、あなたの平安の中に歩むことができますように。
そして、この世の王にではなく、あなたなる王に従う者として、私を整えてください。
アーメン。
🔔 次回の予告
次回は、「十字架の道」マタイの福音書27章27‑31節 …主が十字架へと歩まれた道を共に辿ります。
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