🌱はじめに
丘の上に立つ三本の十字架。その中央におられるのは、私たちの救い主イエス・キリスト。静けさの中に響くそのお言葉は、苦しみと愛、赦しと希望に満ちています。今回は、イエス様が十字架の上で語られた「七つのことば」とともに、贖いの完成のときを見つめていきましょう。
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前回の記事「十字架の道行」はこちらからご覧いただけます
📝この記事を読むとわかること
- イエス様が十字架で語られた「七つのことば」の意味
- 十字架刑の流れと福音書の記録の違い
- 神の愛と赦しの深さを静かに味わう
- 現代を生きる私たちへの希望のメッセージ
📖 この箇所の文脈|十字架刑に至るまで
前回までは、ゲツセマネの祈りから逮捕、裁判、そして十字架の道を歩まれるイエス様の姿を見てきました。今回は、いよいよゴルゴダでの十字架刑、そしてその苦しみの中で語られた七つのことばを通して、神の救いの計画がいかに成就したかを共に見てまいりましょう。
🖼️ 原画:『十字架と贖罪』(らけるま作)





🪷やさしい解説
イエス・キリストの十字架刑は、人類の歴史とキリスト教信仰の中心となる出来事です。この出来事は、マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネの四つの福音書全てに記録されており、それぞれの福音書が異なる視点と細部を提供することで、出来事の神学的深さと歴史的信憑性を補強し合っています。これから、十字架上の出来事を時間軸に沿って「最初の三時間」「最後の三時間」「死と伴う現象」の三段階に分け、それぞれの場面に込められた贖いの意味を詳細に解説します。
※聖句はパブリックドメインの口語訳聖書を引用しています。
https://j-bible.jimdofree.com/
⏳ 十字架上の出来事:最初の三時間(午前9時〜正午)
午前9時頃に十字架にかけられたイエスは、肉体的苦痛に加え、周囲の人々からの嘲りと侮辱に耐えられました。この最初の三時間においては、ご自身を苦しめる人々への「赦しの祈り」、母と弟子への「家族の配慮」、そして隣の強盗への「救いの約束」がなされ、キリストの愛とあわれみが色濃く示された時間となりました。
| 出来事 | 聖書箇所 | 解説と神学的意味 |
| 十字架の設置 | ヨハネ19:18-22 | イエスは二人の強盗と共に十字架にかけられました。罪状書き(INRI)が掲げられ、ピラトは「ユダヤ人の王」と書き、書き換えを拒否しました。これは、イエスが王であることを皮肉ではなく、神の摂理として示しています。 |
| イエスの最初の祈り | ルカ23:34 | 「父よ、彼らをおゆるしください。彼らは何をしているのか、わからずにいるのです。」 十字架上の七つの言葉の最初の一言です。自らを苦しめる者たちへの無条件の赦しを示しており、キリストの愛とあわれみの本質を表しています。 |
| 着物の分配 | ヨハネ19:23-24 | 兵士たちがイエスの着物を四つに分け、縫い目のない肌着は破らずにくじ引きにしました。 これは詩篇22:18の預言の文字通りの成就であり、イエスの処刑が偶然ではなく神の計画通りに進んでいることを裏付けています。 |
| あざけり | マルコ15:29-32a, ルカ23:36, マルコ15:32 | 祭司長、律法学者、通行人、兵士たちがイエスを「十字架からおりてきて自分を救え」と嘲笑いました。 この嘲りは、イエスが受難のしもべとして、ご自身の力を用いることなく、最後まで神の御心に従われたことを強調します。 |
| 信仰告白する罪人 | ルカ23:39-43 | 一方の強盗はイエスを侮辱しましたが、もう一人はイエスを擁護し、「あなたの御国で私を思い出してください」と願いました。イエスは「あなたは今日、わたしと共にパラダイスにいる」と約束されました。 イエスの贖いの力は、死の直前の真の悔い改めにも及び、救いが信仰によって与えられることを示しています。 |
| 母マリヤをヨハネに委ねる | ヨハネ19:25-27 | イエスは母マリヤを愛する弟子ヨハネに託しました。 十字架上の極度の苦痛の中にあっても、家族への配慮と人間の責任を果たされており、模範的な人間性を示しています。 |
🌑 最後の三時間(正午〜午後3時)
正午になると、全地は突如として暗闇に包まれました。この超自然的な現象は、イエスが人類の罪の裁きを一身に負い、父なる神から見捨てられるという究極の苦痛を経験されたことを示しています。この時間は、神の怒りと贖罪の完了という、十字架の最も核心的な神学的意味が凝縮されたクライマックスです。
| 出来事 | 聖書箇所 | 解説と神学的意味 |
| 全地の暗闇 | ルカ23:44 | 正午から三時まで、全地が暗闇に包まれました。 これは、イエスが人類の罪の裁きを一身に負ったこと、そして神がご自身の子に対する怒りを表明したことを示す、宇宙的な現象です。 |
| イエスの叫び | マタイ27:46-47 | 午後三時頃、「エリ、エリ、レマ、サバクタニ」(わが神、わが神、どうしてわたしをお見捨てになったのですか)と大声で叫ばれました。 イエスが罪そのものとなり、父なる神との交わりが断たれたという、肉体的苦痛を遥かに超える霊的な苦痛の極限を示しています。贖罪が完了した瞬間です。 |
| 「渇く」と酸いぶどう酒 | ヨハネ19:28-30a | イエスは「かわく」と言われ、酸いぶどう酒を与えられました。その後、「すべてが終った。」と言われました。 「かわく」は詩篇69:21の成就であり、肉体的苦痛の極限です。「すべてが終った。完了した(テテレスタイ)」は十字架上の勝利の宣言であり、人類の救いの神の計画が全て成就したことを意味します。 |
⚡️ イエスの死と伴う現象(午後3時以降)
イエスが「完了した」と宣言し、息を引き取られた瞬間、地上では驚くべき超自然的な現象が立て続けに起こりました。神殿の幕が裂け、地震が起こり、ローマの百人隊長が信仰告白をしました。これらの現象は、イエスの死が単なる処刑ではなく、人と神の関係を根本から変える偉大な出来事であったことを、天地万物に証明する確固たる証拠となりました。
📜 聖書箇所と解説
| 出来事 | 聖書箇所 | 解説と神学的意味 |
| イエスの死 | ルカ23:46, ヨハネ19:30b | イエスは「父よ、わたしの霊をみ手にゆだねます!」と大声で叫んで息を引き取られました。 十字架上の七つの言葉の最後の言葉です。イエスはご自身の意思で、自発的に命を父なる神に返されました。 |
| キリストの死に伴う現象 | マタイ27:51-56 | 1. 神殿の幕の裂け:上から下へ真っ二つに裂けました。 イエスの死によって、人と神との間にあった隔ての壁が取り払われ、誰でもイエス・キリストを通して直接神の御前に出られる道が開かれたことを示しています(ヘブル10:19-20)。2. 地震と復活:地震と岩が裂け、墓が開きました。 キリストの死が天地を揺るがす出来事であり、その後の復活と救いの力を予兆しています。3. 百人隊長の告白:「まことに、この人は神の子であった」。 異邦人による最初の信仰告白であり、キリストの救いが全人類に及ぶことを示しています。 |
| イエスの死の証拠 | ヨハネ19:31-37 | 律法に従い安息日の前に死体を片付けるため、兵士たちは強盗たちのすねを折りましたが、イエスはすでに死んでいたため、すねを折りませんでした。その代わり、一人の兵士がイエスのわき腹を槍で突き刺すと、血と水が流れ出ました。 1. すねを折らなかったこと:出エジプト12:46の過越の子羊の預言(骨を折ってはならない)の成就です。2. 血と水:これはイエスが完全に死んだことの医学的証拠であり、また救いの象徴(血は贖い、水は聖霊または清め)とも解釈されます。 |
これらの出来事は、イエス・キリストの十字架が偶然の悲劇ではなく、旧約聖書の預言通りに成就した神の救いの計画(贖罪)の頂点であることを示しています。
🗣️ 十字架上の「七つの言葉」とその意味
1. 赦しの言葉(ルカ 23:34)
| 聖書箇所 | 言葉 | 意味と意義 |
| ルカ 23:34 | 「父よ、彼らをおゆるしください。彼らは何をしているのか、わからずにいるのです。」 | 苦痛を与えている人々、すなわち兵士、祭司、群衆に向けられた最初の祈りであり、キリストの究極の愛とあわれみを象徴しています。イエスは、自らの苦難の状況においても、人々の無知と罪を理解し、その赦しを神に願いました。この言葉は、キリストによる贖罪が、赦しを目的としていることを示しています。 |
2. 救いの言葉(ルカ 23:43)
| 聖書箇所 | 言葉 | 意味と意義 |
| ルカ 23:43 | 「よく言っておくが、あなたはきょう、わたしと一緒にパラダイスにいるであろう。」 | イエスの隣で十字架につけられた強盗のうち、悔い改めてイエスに救いを求めた者に対する約束の言葉です。これは、救いは善行や律法によるものではなく、信仰と悔い改めによって直ちに与えられるという福音の真髄を示しています。この強盗は、十字架上での最初の救われた者となりました。 |
3. 愛の言葉(ヨハネ 19:26-27)
| 聖書箇所 | 言葉 | 意味と意義 |
| ヨハネ 19:26-27 | (母マリヤに向かって)「婦人よ、ごらんなさい。これはあなたの子です。」 (ヨハネに向かって)「ごらんなさい。これはあなたの母です。」 | 極限の苦痛の中にあっても、イエスは母マリヤの将来を気遣い、最も愛する弟子ヨハネに母を託されました。これは、キリストが人間としての責任と孝行を最後まで果たされたことを示しています。また、信仰共同体(教会)が家族のように互いを支え合うべきことの模範とも解釈されます。 |
4. 絶望の言葉(マタイ 27:46 / マルコ 15:34)
| 聖書箇所 | 言葉 | 意味と意義 |
| マタイ 27:46 | 「エリ、エリ、レマ、サバクタニ。(わが神、わが神、どうしてわたしをお見捨てになったのですか。)」 | 午後3時頃、全地が暗闇に包まれた中で、イエスが詩篇22篇1節を引用して叫ばれた言葉です。この言葉は、イエスが人類の全ての罪を背負った結果、聖なる神から霊的に引き離されたという究極の苦痛と孤独を表しています。この神との断絶こそが、罪の代価を支払う贖罪の核心です。 |
5. 人間性の言葉(ヨハネ 19:28)
| 聖書箇所 | 言葉 | 意味と意義 |
| ヨハネ 19:28 | 「わたしは、かわく。」 | イエスは長時間にわたる十字架刑と流血により、肉体の極限状態で水分補給を求められました。これは、イエスが完全に人間であり、人間の苦痛を実際に経験されたことを示しています。また、旧約聖書の詩篇69篇21節の預言(渇きの中に酢を与える)の成就でもあります。 |
6. 完成の言葉(ヨハネ 19:30)
| 聖書箇所 | 言葉 | 意味と意義 |
| ヨハネ 19:30 | 「すべてが終った。」 | 十字架上での最大の宣言であり、勝利の雄叫びです。ギリシャ語の「テテレスタイ」は、「負債が完済された」「使命が成し遂げられた」という意味を持ちます。イエスがこの世に来られた目的、すなわち「人類の罪の贖い」という神の計画が完全に成就したことを宣言しています。 |
7. 信頼の言葉(ルカ 23:46)
| 聖書箇所 | 言葉 | 意味と意義 |
| ルカ 23:46 | 「父よ、わたしの霊をみ手にゆだねます。」 | イエスの最後の言葉です。これは、イエスがご自身の意志で、平和と信頼のうちに父なる神に命を返されたことを示しています。詩篇31篇5節の引用であり、贖罪の務めを終えたイエスが、再び父なる神との完全な交わりの中へ戻られたことを象徴しています。 |
これらの「七つの言葉」は、イエス・キリストが神性(赦し、救い、完成の力)と人間性(渇き、苦痛、孝行の心)の両方を備えた存在として、愛と犠牲をもって人類の救いを成し遂げたことを示しています。
✨ イエス・キリストの十字架:贖罪のまとめ
イエス・キリストの十字架刑は、聖書に記された人類の救いの計画の頂点であり、キリスト教信仰の核を成す出来事です。この出来事は、午前9時から午後3時までの6時間にわたり、三つの段階を経て進行し、旧約聖書の預言を完全に成就しました。
| 段階 | 時間帯 | 出来事の主な特徴 | 神学的意義(最も重要) |
| 最初の三時間 | 午前9時〜正午 | 嘲弄、十字架への固定、赦しの祈り、隣の罪人への救いの約束、母への配慮。 | 無条件の愛とあわれみ。救いが信仰によって与えられることの証明。 |
| 最後の三時間 | 正午〜午後3時 | 全地の暗闇、イエスの**「わが神、わが神」の叫び、「かわく」、そして「すべてが終った」**の宣言。 | イエスが人類の罪の裁きと神からの見捨てられを一身に負うことによる贖罪の完成。 |
| 死と伴う現象 | 午後3時以降 | 神殿の幕の裂け、地震、ローマの百人隊長の信仰告白、血と水が流れる。 | イエスの死によって神と人との隔てが取り払われ、誰でも直接神に近づける新しい道が開かれたことの証明。 |
🔑 結論
イエス・キリストは十字架上で、「罪人への赦し」「愛の模範」「預言の成就」を果たし、そして最も重要な贖罪を完成させました。
特に「すべてが終った。完了した(テテレスタイ)」という最期の叫びは、救い主として担うべき使命がすべて成し遂げられ、人類の罪の代価が完全に支払われたことを示す勝利の宣言です。
この出来事により、人々はキリストを信じる信仰を通して、神の御前での義と永遠の命を得る道が開かれました。
🖼 原画:『受難週のエルサレム』(らけるま作)

受難週の舞台、エルサレムを歩く:救いの足跡をたどって
イエス様が十字架にかかられるまでの一週間――「受難週」と呼ばれるそのとき、エルサレムの町は特別な緊張と神の計画に満ちていました。この原画は、福音書の記述に基づき、イエス様が歩まれた受難の道をやさしい手描きでたどった地図です。場所ごとに記された出来事を通して、主の愛の足跡を静かに感じてみましょう。
- 1.勝利の入場
- 2.宮きよめ
- 3.昼は神殿で教え、夜はオリーブ山で過ごす
- 4.二階の広間で過越の食事と最後の晩餐
- 5.ゲッセマネの園でイスカリオテ・ユダに裏切られ逮捕される
- 6.アンナスの尋問
- 7.議会による裁判
- 8.ピラトによる裁判
- 9.ヘロデによる裁判
- 10.ピラトによる二回目の裁判、死刑判決
- 11.十字架刑、イエスの死、アリマタヤのヨセフの墓に埋葬
【代替テキスト】 受難週におけるイエス・キリストの足跡を描いたエルサレムの手描き地図。オリーブ山からゲッセマネ、ピラトの官邸、ゴルゴダに至るまでの経路が日本語で記されている。
【キャプション】 イエス様が歩まれた受難の道。ひとつひとつの場所に、祈りと救いの物語が刻まれています。
🌼こどもたちへのメッセージ
イエスさまは、十字架のうえでも、まわりの人たちのことを思っていました。ゆるすこと、あいすること、さいごまでしんじること――それが、イエスさまのこころです。こどもたちも、どんなときもイエスさまによりそって、ひかりのこどもとして歩んでいきましょうね。
🎚️ 弟子の告白
主よ、私はあなたのように完全ではありません。時に恐れ、時に疑い、愛が足りない自分に気づかされます。
けれど、あなたが十字架で私を赦してくださったように、私もあなたに従いたいと願います。
御国の希望を見上げて、今日もまたあなたの後を歩ませてください。
🖼 原画アイキャッチ情報
【代替テキスト】
イエス・キリストが両脇に二人の犯罪人と共に十字架につけられ、多くの人々が見守る中、処刑が行われている場面。
【キャプション】
主イエスは、私たちのために十字架につけられました。
「父よ、彼らをお赦しください」――痛みの中で語られたこの祈りが、今も私たちの心に届きます。
📌原画には、パブリックドメイン口語訳が含まれています。
https://j-bible.jimdofree.com/
🎨 らけるまの創作メモ|十字架と贖罪を描こうとした日
この原画を描いたとき、私の心には「痛みとともにある愛」がありました。
静かに祈りながら、イエス様がひとりひとりのために耐えてくださった時間を思い、ただ筆を運びました。
血と涙の色の中にも、赦しと希望の光があることを伝えたい。
そんな祈りをこめて、描かせていただきました。
📝この記事のまとめ
- イエス様は十字架の上で7つの言葉を語られました
- それぞれの言葉に、深い愛と救いの意味がこめられています
- 十字架は終わりではなく、永遠の命へのはじまり
- 私たちはその愛に応えて歩む弟子として招かれています
🕊️ 結びの祈り
主イエス・キリスト、あなたの十字架の愛に心から感謝します。
あなたが語られた一つひとつのことばが、今も私の心を照らしています。
どうか、私のうちにあなたの赦しと希望を満たしてください。
この記事を読まれるすべての方が、あなたの深い愛に出会い、平安のうちに歩まれますように。
アーメン。
🔔 次回の予告
次回は、「イエスの埋葬」ヨハネ19章38-42節。十字架の死ののち、主は静かに葬られ、やがて復活の朝へと向かいます。
イエスさまの御業やことばを、心静かにたどってみたい方へ。
テーマごとにまとめたカテゴリをご案内します。
きっと、あなたの今の歩みに寄り添う光が見つかりますように――
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🌱 癒し|病と心の回復🌊 奇蹟|自然を超えた行い
🕊️ 赦しと解放|罪と重荷の自由
📖 教えとたとえ話
👣 応答する人々
🛤️ イエス様の足跡をたどる旅|福音書に導かれる7つのステージ


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