🌱はじめに
信じていたのに、つい背を向けてしまう。愛していたのに、恐れに負けてしまう。ペテロの姿は、わたしたち自身の姿でもあります。けれどその涙は、悔い改めへの入り口。イエスさまは、その涙を知っておられます。
📝この記事を読むとわかること
- ペテロがイエスを三度否認した場面の流れ
- ペテロの弱さと、そこに注がれる主のまなざし
- 原画に込められた静かな感情の描写
- わたしたちの信仰の現実と希望
📖 この箇所の文脈|ペテロの否認と涙
前回は、アンナスがカヤパのもとにイエスを送り、夜明け前に不正な議会の裁判が行われました。
今回は、イエスが予告していたとおり、ペテロがイエスを三度「知らない」と言う場面を見ていきます。
ペテロは、イエスが捕らえられた後も遠くからついていき、大祭司の中庭で事の成り行きを見守っていました。けれど、周囲の人々から「あなたもイエスと一緒だった」と問われると、恐れと混乱の中で、彼はそれを否定します。
三度目に否んだとき、鶏が鳴きます。その瞬間、ペテロはイエスの言葉を思い出し、外に出て激しく泣きます。その涙には、悔いと共に、主のまなざしの温かさがにじんでいます。
🖼️ 原画:『ペテロの三度の否認』(らけるま作)

🪷やさしい解説
マタイの福音書26章58節および69-75節は、イエス様の弟子の中でも特に中心的な存在であったペテロが、師を三度否認するという、受難物語の中でも最も悲劇的な場面を描いています。
これは、弟子たちの人間的な弱さと、イエス様が予告された預言の正確さを示す重要な箇所です。
💔 ペテロの三度の否認(マタイ26:58, 69-75)
1. 26章58節:現場への接近と傍観
まず、58節は、否認が起こる状況設定を説明しています。
- 「遠くから」ついて行く: ペテロは、イエス様が捕らえられ、大祭司カヤパの家へ連れて行かれた際、他の弟子たちが逃げ出す中、遠くからカヤパの家の中庭(邸宅の敷地)までついて行きました。
- これは、ペテロが師への愛と関心を持っていたこと、そして危険を冒す勇気がわずかながらあったことを示していますが、「遠くから」という表現は、彼が不安とためらいを抱えていたことも示唆しています。
- 「下役たちと一緒に座って」: 彼は中庭に入り、火にあたっている下役たち(イエス様を捕らえた役人や使用人)の中に紛れ込み、成り行きを見届けようとしました。
2. 26章69-75節:三度の否認
カヤパの家の中庭で、ペテロは三度にわたってイエス様との関係を否定します。
🔹 第一回目の否認(69-70節)
- 証言者: 一人の召使の女。彼女はペテロを直接指差し、「あなたもあのガリラヤ人イエスと一緒だった」と告発します。
- ペテロの反応: ペテロは皆の前で、きっぱりと「あなたが何を言っているのか、わからない」と否認しました。
- 解説: 最初の告発は、権威ある人物からではなく、立場の弱い女性からでした。しかし、イエス様との関係を公の場で認めることへの恐れから、彼は最初の嘘をついてしまいました。
🔹 第二回目の否認(71-72節)
- 証言者: ペテロが門口に出ると、別の召使の女が彼を見て、そこにいる人々に向かって「この人はナザレ人イエスと一緒だった」と告発しました。
- ペテロの反応: ペテロは誓って、「そんな人は知らない」と再び否認しました。
- 解説: 彼は、単に否定するだけでなく、「誓って」という言葉を使い、否定の強度を高めました。一度嘘をついたことで、彼はさらに大きな嘘でその場を乗り切ろうとします。
🔹 第三回目の否認(73-74節)
- 証言者: しばらくして、そばに立っていた人々がペテロに近づき、「確かにあなたも彼らの仲間だ。言葉づかいであなたのことがわかる」と言いました。
- ペテロの反応: ペテロは呪いの言葉を使い始め、「その人のことは何も知らない」と強く誓って否定しました。
- 解説: 彼のガリラヤ訛りという物理的な証拠が彼を追い詰めました。追い詰められたペテロは、自分を信じ込ませるために、最も激しい言葉(呪いや誓い)を使って、イエス様との関係を完全に断ち切ろうとしました。
🐓 鶏の鳴き声とペテロの悔い改め(74-75節)
- 預言の成就: ペテロが否定を終えると、すぐに鶏が鳴きました。
- 悟り: この鶏の鳴き声を聞いて、ペテロはイエス様が「鶏が鳴く前に、三度わたしを知らないと言うであろう」と言われた言葉を思い出しました。
- 結果: 彼は外に出て、激しく泣きました。
🔑 解説のポイント
この出来事は、以下の重要なメッセージを含んでいます。
- 人間的な弱さ: 伝道開始時に「人をとる漁師」になると言われ、自ら「あなたのためなら死にます」と豪語したペテロでさえ、死の危険に直面したとき、信仰の誓いを破ってしまうという、人間の根源的な弱さを示しています。
- イエス様の預言の正確さ: イエス様は、ペテロが最も強い時に彼の弱さを知っており、その失敗を正確に予告していました。これは、イエス様が単なる師ではなく、すべてを知る神の子であることを示しています。
- 悔い改めと回復: ペテロの否認は悲劇ですが、彼の「激しく泣いた」という行動は、真の悔い改めを示しています。この失敗の後、彼は復活したイエス様に出会い、後に教会の指導者として力強く立ち上がることになります(ヨハネ21章参照)。
信じていたのに、つい否んでしまう――そんな弱さは、私たちにもあります。
けれど、イエスさまはその弱さを知っておられました。そして、それでもペテロを愛しておられました。
ペテロの涙は、ただの後悔ではなく、主のまなざしを思い出した者の涙です。
私たちもまた、失敗や恐れの中で涙を流すとき、イエスさまの愛のまなざしがそっとそこにあることを信じて歩みましょう。
🌼こどもたちへのメッセージ
ペテロは、イエスさまのことを「しらない」といってしまいました。でも、あとで思いだして、たくさん泣きました。
イエスさまは、そんなペテロをゆるして、またともだちとして、つかってくださいました。わたしたちも、まちがえてしまっても、イエスさまにゆるされて、またあるいていけるんだよ。
🎚️ 弟子の告白
主よ、わたしは弱い者です。
時に、恐れに負けて、あなたを知らないかのようにふるまってしまうことがあります。
けれど、あなたはその心をご存じで、見捨てずにいてくださいます。
わたしの涙も、あなたの愛のうちに包まれていることを、信じて歩んでいけますように。
🖼 原画アイキャッチ情報
【代替テキスト】
上段では、ペテロが火を囲んで座っている中、数人の女中たちに問い詰められて戸惑う様子が描かれている。下段では、ペテロが地にひれ伏して激しく泣いている姿が描かれており、背景に「鶏が鳴く」場面が暗示されている。
【キャプション】
恐れの中で、三度「知らない」と言ってしまったペテロ。けれど、鶏の声に思い出されたイエスの言葉は、悔い改めへの道しるべでした。涙の中にも、救い主のまなざしがそっと寄り添っていたことでしょう。
📌原画には、パブリックドメイン口語訳が含まれています。
https://j-bible.jimdofree.com/
🎨 らけるまの創作メモ|涙と回復を描こうとした日
この絵を描くとき、ペテロの心の揺れを感じながら筆を取りました。
人に見られることのない涙の中に、イエスさまは優しく寄り添ってくださる。
そのことを思いながら、静かな祈りのような気持ちで、地に伏して泣くペテロを描きました。
📝この記事のまとめ
- ペテロはイエスの後を追い、裁きの場を遠くから見守っていた
- 三度、イエスを「知らない」と否定した
- 鶏の鳴き声で、イエスの言葉を思い出した
- 激しく泣いたペテロの姿に、悔い改めと希望がある
- イエスさまはその涙を見捨てず、ペテロを回復へと導かれる
🕊️ 結びの祈り
主イエスさま、あなたが語られたとおり、ペテロはあなたを否んでしまいました。
けれど、その涙は、あなたの愛に立ち返る道でした。
わたしたちもまた、弱さの中であなたを見失うことがありますが、
あなたのやさしいまなざしに、心を向けて歩めますように。
読んでくださった方の心にも、あなたの慰めと希望が注がれますように。
🔔 次回の予告
次回は、「夜明け後の議会による裁判」ルカの福音書22章66-71節。
イエスさまが公に「神の子」と証言された、その静かな力に耳を傾けましょう。
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