🌱はじめに
イエス様が十字架にかかる前の夜、弟子たちと囲む静かな食卓。その深い愛とやさしさに満ちた言葉が語られたのが、ヨハネ14章です。弟子たちの不安を受けとめながら、イエス様は「わたしは道であり、真理であり、命である」と語り、やがて来られる聖霊の助けを約束されました。
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前回の記事「主の晩餐」はこちらからご覧いただけます
📝この記事を読むとわかること
- ヨハネ14章の場面と背景
- 「道・真理・命」とはどういう意味か
- 聖霊が私たちと共におられるという希望
- 弟子たちとイエス様の深い関係性
📖 この箇所の文脈|最後の晩餐の余韻の中で
前回は受難週の金曜日に、イエスと使徒たちの主の晩餐が行われました。今日の箇所は、晩餐が行われた部屋を出るときに語られました。パンを裂き、杯を分け与えたその直後、イエス様は弟子たちの心の中に芽生えた不安を知っておられました。その心に語られたのが、ヨハネ14章のやさしい励ましのことばです。
🖼️ 原画:『二階部屋での説教』(らけるま作)

🪷やさしい解説
静かな部屋に響く、イエス様のやさしい声。その言葉は、ただの慰めではなく、深い真理と希望を携えています。
🕊️ ヨハネの福音書14章の主要なテーマ
この章は、大きく分けて以下の3つのテーマで構成されています。
- 天の住まいと「道、真理、いのち」 (1-11節)
- 聖霊(助け主)の約束 (12-24節)
- イエスの平安と去ることの意味 (25-31節)
1. 🏡 天の住まいと「道、真理、いのち」 (1-11節)
14:1 「あなたがたは、心を騒がせないがよい。神を信じ、またわたしを信じなさい。
14:2 わたしの父の家には、すまいがたくさんある。もしなかったならば、わたしはそう言っておいたであろう。あなたがたのために、場所を用意しに行くのだから。
14:3 そして、行って、場所の用意ができたならば、またきて、あなたがたをわたしのところに迎えよう。わたしのおる所にあなたがたもおらせるためである。
14:4 わたしがどこへ行くのか、その道はあなたがたにわかっている」。
14:5 トマスはイエスに言った、「主よ、どこへおいでになるのか、わたしたちにはわかりません。どうしてその道がわかるでしょう」。
14:6 イエスは彼に言われた、「わたしは道であり、真理であり、命である。だれでもわたしによらないでは、父のみもとに行くことはできない。
14:7 もしあなたがたがわたしを知っていたならば、わたしの父をも知ったであろう。しかし、今は父を知っており、またすでに父を見たのである」。
14:8 ピリポはイエスに言った、「主よ、わたしたちに父を示して下さい。そうして下されば、わたしたちは満足します」。
14:9 イエスは彼に言われた、「ピリポよ、こんなに長くあなたがたと一緒にいるのに、わたしがわかっていないのか。わたしを見た者は、父を見たのである。どうして、わたしたちに父を示してほしいと、言うのか。
14:10 わたしが父におり、父がわたしにおられることをあなたは信じないのか。わたしがあなたがたに話している言葉は、自分から話しているのではない。父がわたしのうちにおられて、みわざをなさっているのである。
14:11 わたしが父におり、父がわたしにおられることを信じなさい。もしそれが信じられないならば、わざそのものによって信じなさい。
イエスは、ご自身が間もなく彼らのもとを離れることに心を騒がせている弟子たちに、まず永遠の希望を与えます。
- 心を騒がせるな (1節)
- 弟子たちに神を信じるように、そしてイエスをも信じるように促します。不安な状況でも信仰によって心を落ち着かせなさい、ということです。
- 父の家と場所の用意 (2-3節)
- イエスは、「父の家(天国)には住む所がたくさんある」と言い、ご自身が彼らのために場所を用意しに行く、そしてまた戻ってきて彼らを迎える、と約束します。これは、イエスの死と復活、昇天が、信じる者たちが天国に入るための準備であることを示唆しています。
- 「道、真理、いのち」 (6節)
- トマスが「道がわからない」と尋ねたのに対し、イエスは決定的な言葉を述べます。「わたしが道であり、真理であり、いのちなのです。わたしを通らなければ、だれひとり父のみもとに来ることはありません。」
- これは、イエス・キリストこそが唯一、神(父)のもとへ私たちを導く存在であることを宣言しています。この箇所はキリスト教の中心的な教えの一つです。
- イエスと父は一つ (7-11節)
- ピリポが「父を見せてください」と願うと、イエスは「わたしを見た者は、父を見たのです」と答えます。これは、イエスが父なる神と本質的に一つであること、イエスを通して神の愛と力が現れていることを教えています。
2. 🔥 聖霊(助け主)の約束 (12-24節)
14:12 よくよくあなたがたに言っておく。わたしを信じる者は、またわたしのしているわざをするであろう。そればかりか、もっと大きいわざをするであろう。わたしが父のみもとに行くからである。
14:13 わたしの名によって願うことは、なんでもかなえてあげよう。父が子によって栄光をお受けになるためである。
14:14 何事でもわたしの名によって願うならば、わたしはそれをかなえてあげよう。
14:15 もしあなたがたがわたしを愛するならば、わたしのいましめを守るべきである。
14:16 わたしは父にお願いしよう。そうすれば、父は別に助け主を送って、いつまでもあなたがたと共におらせて下さるであろう。
14:17 それは真理の御霊である。この世はそれを見ようともせず、知ろうともしないので、それを受けることができない。あなたがたはそれを知っている。なぜなら、それはあなたがたと共におり、またあなたがたのうちにいるからである。
14:18 わたしはあなたがたを捨てて孤児とはしない。あなたがたのところに帰って来る。
14:19 もうしばらくしたら、世はもはやわたしを見なくなるだろう。しかし、あなたがたはわたしを見る。わたしが生きるので、あなたがたも生きるからである。
14:20 その日には、わたしはわたしの父におり、あなたがたはわたしにおり、また、わたしがあなたがたにおることが、わかるであろう。
14:21 わたしのいましめを心にいだいてこれを守る者は、わたしを愛する者である。わたしを愛する者は、わたしの父に愛されるであろう。わたしもその人を愛し、その人にわたし自身をあらわすであろう」。
14:22 イスカリオテでない方のユダがイエスに言った、「主よ、あなたご自身をわたしたちにあらわそうとして、世にはあらわそうとされないのはなぜですか」。
14:23 イエスは彼に答えて言われた、「もしだれでもわたしを愛するならば、わたしの言葉を守るであろう。そして、わたしの父はその人を愛し、また、わたしたちはその人のところに行って、その人と一緒に住むであろう。
14:24 わたしを愛さない者はわたしの言葉を守らない。あなたがたが聞いている言葉は、わたしの言葉ではなく、わたしをつかわされた父の言葉である。
イエスが去った後、弟子たちがどうなるのかという不安に対し、イエスは驚くべき約束をします。
- さらに大きな働き (12-14節)
- イエスは、ご自身を信じる者は、イエスが行ったよりも「さらに大きなこと」を行うだろうと約束します。これは、イエスが昇天した後、聖霊が弟子たちに力を与え、全世界に福音が広がることを指しています。また、イエスの名によって求める祈りは聞き届けられると約束されます。
- もうひとりの助け主 (15-20節)
- イエスは、ご自身が去った後、父が「もうひとりの助け主(パラクレートス)」を送ってくださると約束します。この助け主とは聖霊のことです。
- 聖霊は「真理の御霊」と呼ばれ、いつまでも弟子たちと共にいて、彼らの内に宿ると約束されます。これは、イエスが物理的にいなくなっても、聖霊の形で信じる者と共にいるという、神の臨在の継続を意味します。
- 愛と戒め (21-24節)
- イエスを愛する者は、イエスの戒めを守る者であり、その人には父と子(イエス)が愛を示し、その人のところに宿る(共に住む)と教えます。真の信仰は、単なる感情ではなく、イエスの教えに従うという行動に表れる、ということです。
3. 🕊️ イエスの平安と去ることの意味 (25-31節)
14:25 これらのことは、あなたがたと一緒にいた時、すでに語ったことである。
14:26 しかし、助け主、すなわち、父がわたしの名によってつかわされる聖霊は、あなたがたにすべてのことを教え、またわたしが話しておいたことを、ことごとく思い起させるであろう。
14:27 わたしは平安をあなたがたに残して行く。わたしの平安をあなたがたに与える。わたしが与えるのは、世が与えるようなものとは異なる。あなたがたは心を騒がせるな、またおじけるな。
14:28 『わたしは去って行くが、またあなたがたのところに帰って来る』と、わたしが言ったのを、あなたがたは聞いている。もしわたしを愛しているなら、わたしが父のもとに行くのを喜んでくれるであろう。父がわたしより大きいかたであるからである。
14:29 今わたしは、そのことが起らない先にあなたがたに語った。それは、事が起った時にあなたがたが信じるためである。
14:30 わたしはもはや、あなたがたに、多くを語るまい。この世の君が来るからである。だが、彼はわたしに対して、なんの力もない。
14:31 しかし、わたしが父を愛していることを世が知るように、わたしは父がお命じになったとおりのことを行うのである。立て。さあ、ここから出かけて行こう。
最後に、イエスは別れを前にした弟子たちに、ご自身の遺産ともいえる贈り物を与え、ご自身の死が神の計画であることを明らかにします。
- 聖霊の役割 (26節)
- 聖霊は、イエスが語ったすべてを思い起こさせ、弟子たちを教える役割を持つと改めて強調されます。
- イエスの平安 (27節)
- イエスは、「わたしは、あなたがたに平安を残します。わたしは、あなたがたにわたしの平安を与えます」と述べます。この平安は「世が与えるものとは異なり」、困難の中でも動じない、神から来る本質的な心の安定を意味します。
- 愛と従順 (28-31節)
- イエスは「父のもとに行く」と言います。父はイエスよりも偉大なので、イエスが父のもとに帰ることは弟子たちにとって喜ぶべきことです。そして、ご自身の死と復活が間近に迫っていることを示唆しつつ、それは父の命じるままに行う、つまり神への従順の行為であることを宣言し、この章を締めくくります。
🔑 まとめ
ヨハネの福音書14章は、イエス・キリストが天国への唯一の道であり、去った後も聖霊を通して信じる者の内に住み、平安と力を与えるという、信仰の核となるメッセージを凝縮しています。
🌼こどもたちへのメッセージ
イエスさまは「こわがらなくていいよ。わたしがそばにいるよ」と言ってくれました。イエスさまのことばは、いつもわたしたちの心をあたたかくしてくれます。こまったとき、さびしいときも、イエスさまは見ていてくれて、たすけてくれます。
🎚️ 弟子の告白
主よ、わたしの心は時に弱く、すぐに不安になります。けれども、あなたが「心を騒がせてはならない」と語ってくださるとき、わたしは再び希望を見いだします。完全でなくても、あなたに従いたいという願いを持って、今日も歩ませてください。あなたの平安がわたしのうちにありますように。
🖼 原画アイキャッチ情報
【代替テキスト】
イエスが弟子たちに囲まれて語っている。弟子たちは静かな表情で主を見つめ、室内には柔らかな光が差し込み、平安な雰囲気が漂う。
【キャプション】
「あなたがたは心を騒がせてはなりません」――主が十字架を前に、弟子たちに語られた愛と平安のことば。
📌原画には、パブリックドメイン口語訳が含まれています。
https://j-bible.jimdofree.com/
🎨 らけるまの創作メモ|静けさの中に宿る愛
この絵を描いた日は、夜の祈りの中で「主の平安」が心に降りてきた日でした。弟子たちの不安を受けとめるように、そっと語りかけるイエス様のまなざしに、やさしい光を込めました。静けさの中に、主の愛が深く息づいている――そんな瞬間を描こうとしました。
📝この記事のまとめ
- ヨハネ14章は最後の晩餐の直後、二階部屋で語られた説教
- 「わたしが道である」という主の自己紹介に深い真理がある
- 聖霊は今も私たちとともにいてくださる
- 聖霊降臨は五旬節の日に成就し、弟子たちは福音の証人となった
- イエス様の平安は時代を超えて私たちに与えられている
🕊️ 結びの祈り
主イエス様、あなたのことばが今もわたしたちの心に届き、静かに灯りをともしてくださることを感謝します。不安のただ中にあるすべての人の心に、あなたの平安がそっと降り注ぎますように。あなたの約束とともに歩む一日となりますように。アーメン。
🔔 次回の予告
次回は、「ゲッセマネ途上での説教」ヨハネ15章1-16章33節をお届けします。ぶどうの木のたとえに込められた、つながりと実りのメッセージを深めていきましょう。
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